インターンシップ制度と労働法規制

ベンチャーやスタートアップ企業では従業員を雇用することもままならないほど資金が不足していることが多いと思います。
そこでよく「インターンの子に手伝ってもらっています」という会話を耳にします。
なるほど、インターンであれば無償か有償だとしても比較的安い対価で来てもらえます。
しかしながら、「インターンシップ」という用語自体、法律上の用語ではありません。改めて整理して考えてみました。

インターンシップ制度とは

 

ウィキペディアによると、
インターンシップ(英:Internship)とは、学生が一定期間企業などの中で研修生として働き、自分の将来に関連のある就業体験を行える制度
だということです。
この説明を読む限り当然といえば当然のように思いますし、特に違和感はありません。
実際によく使われる場面で類型化してみると、以下の二つのケースがあると思います。
◆採用のためのインターンシップ(採用型)
新卒採用にあたって職場の雰囲気を知ってもらうためのインターンシップや内定者に入社前から実務研修を兼ねて行うインターンシップなどを広く含みます。
◆就業体験としてのインターンシップ(体験型)
学校における教育カリキュラムの一つとして、職業体験的な要素を含むインターンシップをいいます。こちらは、特段採用を前提としていないケースをいいます。
ところが、これ以外に、
◆臨時社員としてのインターンシップ(社員型)
アルバイトや派遣、業務委託ではない新たな類型としてのインターンシップが存在しているように思います。
 学生に平日会社に来てもらい、開発等を一緒にしてもらう、
 優秀であれば、保守運用までお願いする、
 無償でやってもらっている場合もあるが、たいてい時給や日給で有償である、
ということも耳にします。

新型インターンシップ制度?!

3番目に挙げたインターンシップ(社員型)は法律的にはどのように位置づけられるのでしょうか。
実態としては、インターンシップという蓑を被った新たな雇用形態の創出なのではないでしょうか。
限りなくバイトやパートに近いと思います。
・最低賃金を支払いたくないから
・労基法の適用を受けたくないから
・いつでも辞めてもらえるから
といった安易な理由からだとしたら、注意が必要です。
※実は、似たような問題が「外国人研修・技能実習制度」においても議論になっていました。
外国人を企業に研修生として受け入れて各種技能研修や実習をさせる制度で、労基法の適用を受けないとされていましたが、待遇が酷かったことから2009年に雇用関係を前提とした制度に改められました。

インターンシップに潜むリスク

インターンシップという名目を使えばバイト(雇用)じゃなくて大丈夫、という考えはリスクがありますよ!
ということです。
インターンシップがその名のとおり、「就業体験を行える制度」として活用されているのであればむしろ積極的に活用したほうが企業にも学生にもメリットがあることでしょう。
しかし、低賃金で学生に働いてもらいたい、バイト感覚だと説明して手伝ってもらう、
という発想は、後になって学生から従業員同様(または労基署に相談して)
最低賃金との差額の請求を受けたり、
雇用保険や労災保険の適用を求められたり、
と労基法上の労働者に認められている権利を請求されるリスクがあるということを認識しておくべきでしょう。
ベンチャーだからといって、夢を語りながら最低賃金以下で働けるのは経営者のみです。

「労働者」と「インターンシップ」の境目は

 

労働者については、
「使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者」(労基法2条1項)
という定義がされ、さらに
「使用され」とは、一般的には「指揮命令下の労務の提供」を意味すると解され、
「賃金」とは、「労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」(労基法11条)
と定義されています。
また、インターンシップに関して、
使用従属関係があれば労働者である旨の通達も出ているようです。
(経産省が出しているこちらの資料の20ページを参照)
そのため、会社としては、厳格に「就業体験」の実態を伴う制度設計が必要になるでしょう。
ビジネスにおいては何事にもリスクが潜むものです。
最後に、健全なインターンシップが普及することを祈念いたします。

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