Uberはタクシー業界にイノベーションを起こせるか

既にイノベーションを起こしているようにも思いますが、日常生活のタクシーの代替手段とまではいっていないようです。
かなり前ですが2015年2月に、「日本でライドシェア実験」
という見出しでUberが個人の車を共有するサービス(以下「ライドシェア」という)を始める記事を見たので、日本の運送業界について簡単に調べてみました。
※ライドシェア自体は、その後3月に行政庁から指導があり、中止となってしまいました。

ライドシェアのビジネスモデル

まず、ライドシェアのサービス概要は、
①一般のドライバーから参加者を募り
②Uberが運転履歴などを審査
③乗車時間に応じてUberがドライバーに報酬を支払う(*)
ということです。(*)当面は無料で実験的に実施する予定でした。
審査を通過したドライバーのみが利用者に利用してもらえる、というスキームです。
このサービスが一般的になれば便利な世の中になるだろうと思いました。
タクシーがつかまらない時に気軽に利用できたり、逆に自動車を持っている人はちょっと暇なときにお小遣い稼ぎをできたりします。
ただし、デメリットとしては、保険が適用されるのか、誘拐やぼったくりなどの犯罪が横行しないか、等のリスクがあります。
簡単に言うと、タクシーが二種免許の下で事業をしていることをUberが単独で実施しようとしたわけです。

運送業に関する法規制

このような人を乗せて運ぶという事業は日本法の下では、道路運送法に規制の定めがあります。
道路運送法2条3項で、
「旅客自動車運送事業」とは、「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して旅客を運送する事業」という定義がされています。
そして、いわゆるタクシー会社がこの事業をしようとすると
1.まず許可を受ける必要があります(同法4条)。
許可を受けるためには、
 1)当該事業の計画が輸送の安全を確保するため適切か
 2)事業の遂行上適切な計画があるか
 3)事業を遂行する能力があるか
の基準をクリアする必要があります。
要するに、適切な事業計画を作ってこい、ということでしょうか。
このような基準を満たしていれば、タクシー事業を安全かつ適切に(利益が出るという意味で)運営できるということなのでしょうか。
私は、他の業界では当たり前のことのように思います。
まあ、道路運送法の趣旨が、
道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものとし、並びに道路運送の分野における利用者の需要の多様化及び高度化に的確に対応したサービスの円滑かつ確実な提供を促進することにより、輸送の安全を確保し、道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図るとともに、道路運送の総合的な発達を図り、もつて公共の福祉を増進すること」
にあるので、もはやありとあらゆるものまでも追求してしまう法律のようです。
当事者として、事業者、利用者、公共の福祉という関係者が出てきているため、簡単に調整できるわけもありません。
その意味では、既存のタクシー会社もすごい責務を担っているということがいえます。
2.さらに、タクシー事業の場合、一般乗用旅客事業に該当するので、認可を受ける必要があります(同法9条の3)。
認可の判断をする国土交通大臣が、「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを審査」することが条件になっています。
他にも3つ条件があるのですが、この条件が初乗運賃が一定の地域単位で異なる理由になります。
(条文番号が枝番になっているので、あとから付け足したことが丸わかりです。)
民間事業として遂行するのに利益をコントロールされてしまうのです。
自由な価格設定ができない下請事業者のイメージに近いでしょうか。
このようなハードルがあるのが現行法といえます。

ライドシェアをどう考えるか

ここで再度、「ライドシェア」について考えてみます。
①一般のドライバーから参加者を募り
>タクシー会社がドライバーを募集するのとイコールです。
②Uberが運転履歴などを審査する
>タクシー会社が車載ドライブレコーダーを設置してドライバーの勤務状況や能力を判定するのにも使用しているのに近いです。
③乗車時間に応じてUberがドライバーに報酬を支払う
>タクシー会社の給料というと歩合の要素が強いと思いますが、基本給を出すところもありますので、基本給+歩合という給与体系ということでしょうか。
そして、一般旅客事業が
「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して旅客を運送する事業」なので、
利用者からお金を取らなくても「有償で」という要件には、まず該当するように思います。
結局、これだけの情報だと道路運送法にいう一般乗用旅客事業、すなわちタクシー事業に該当してしまう可能性が高いと思います。
そのため、Uberが無許可、無認可でやろうとすると、いわゆる白タク行為になってしまいます。

現行法で考えられるビジネススキーム

お分かりかと思いますが、今の規制の下でできるスキームはないのでしょうか。
やや乱暴かもしれませんが、いくつか検討してみました。
案①
ドライバーが「人を乗せる」のではなく、「自分の車を人に運転してもらう」というのはどうでしょうか。利用者が運転して、車の所有者は乗車するだけ。
こうすれば、ドライバー=利用者にとっては目的地に行くことは「自己の需要に応じ」ということになるので、一見運送規制を回避するように思えます。
所有者は車を一時的に貸し出す、ということでレンタル料をもらう。
案②
旅行業法にも同様の規制があり、そちらの「運送サービス」ということで実施する。
これはUberが旅行業登録をしていることからあり得るかもしれません。
がしかし、結局、運送規制を回避したことにはならないため、Uber自身が堂々と白タクを回避するのは簡単ではないでしょう。
(ただし、結局、規制があることに変わりはありません。※旅行業法については、改めて調査してみたいと思います。)
案③
やっぱり許可と認可をとって正攻法で戦う。
規制産業こそビジネスのチャンスと思って挑戦してみてはいかがでしょうか。
(参考)
弁護士ドットコムニュース

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